ゴルフ会員権業界を取り巻く環境

プロトーナメント開催コースと会員権格付評価の関連性

20109月期】

 

9月のフジサンケイクラッシック(富士桜CC)で石川遼プロが2連覇を達成しました。

最終日の視聴率は、今期のゴルフ中継では女子のダイキンオーキッドレディスと並んで最高の12%を記録しました(関東地区ビデオリサーチ調べ ※ 視聴率 歴代3)。

瞬間最高はプレーオフ4ホール目で、石川選手と高校の先輩である薗田選手が共にバーディチャンスにつけた直後の17.4%です。

※視聴率記録 歴代1位は、12.9%で昨年のフジサンケイクラッシックで石川遼選手が初優勝の時。

 視聴率記録 歴代2位は、12.6%で1989年のジャンボ尾崎選手が優勝の時。

 

宮里藍選手の世界ランキング1位や石川遼選手のギネス記録スコア達成等、若いプロゴルファーが次世代のゴルフ界を牽引する明るい話題ですが、不景気の波はトーナメントツアーに影を落としつつあります。世界に名だたるトーナメントを目指して2008年から始まったトヨタ自動車主催のレクサク選手権が今期限りで無くなります。石川遼選手がツアー初勝利を飾ったマンシングウェアKSBカップも冠スポンサーの撤退により2008年から消滅しています。

 

今期の男子ツアートーナメントは25試合開催ですが、1987年には47試合もありました。23年間で約46%減です。女子ツアーはスポンサーにとって比較的安定した人気があり、2010年は36試合で、最高でも19891992年の39試合です。

 

20109月度のゴルフ会員権業界を取り巻く環境は、戦略性が高く、ゴルファーの注目度の高いツアートーナメント開催コースと会員権格付評価との関連性についての分析をご報告申し上げます。

 

【1.ゴルフ場形態の種類】

 

2010年の国内プロトーナメントは男子・女子合わせて61試合58ゴルフ場での開催です。

会員制ゴルフ場53コースに対してパブリック制ゴルフ場は、約9%の5コースです。

日本のゴルフ場の約9割が会員制ゴルフ場であるから、当然とは云え、圧倒的にメンバーシップ制ゴルフ場での開催が占めていることを再認識するデータとなりました。


 

【2.会員権格付評価の分布状況】

 

会員権格付評価は、約7のコースが、総合格付Bランク以上の優良コースでの開催でした。

しかし8%のコースは、知名度が高いながらも会員価値・資産価値性が低いコース(Dランク)という事が判明しました。

残念ながら、一概にトーナメントコースは全て安心できる資産価値の高い会員権ではないということが裏づけられました。

 

《AIゴルフ総研 会員権格付評価の基準について》

〜ゴルフ場10項目評価による最高100点〜最低マイナス40点の評点査定〜

 

@経営母体 A抵当権状況 B18H換算会員数 C会員名簿 D会員予約権利

E名義書換料占有率 F預託金返還リスク GH騰落率/過去最高・1年前 I県平均比較

 

 

ランク:10090

ランク: 8970

ランク: 6950

ランク: 4930

ランク: 29点 以下


 

【3.経営母体項目の格付評価の分布状況】

 

次に、格付評価10項目の1つである経営母体指標をクローズアップして分析します。

 

Sランク:社団法人制・公益社団法人制・完全株主制・東証1,2部上場

大手民間調査機関の評点が60点以上

Aランク:中間法人制・一般社団法人制・地方上場・ジャスダック・マザーズ・ヘラクレス

大手民間調査機関の評点が55点以上、他

Bランク:大手民間調査機関の評点が50点以上、他

Cランク:大手民間調査機関の評点が45点以上、他

Dランク:大手民間調査機関の評点が40点以上

Eランク:大手民間調査機関の評点が39点以下

Fランク:法的整理中(民事再生法・会社更生法・特別清算等)

 

 

優良経営母体(B以上)が、約77を占めました。

やはりデフレ不景気が続いている環境下では、コースメンテナンスに充分な予算をかけられる

財務基盤が安定している経営母体でないとトーナメント開催は難しいと云えるのでしょう。


 

【4.会員予約権利評価項目の格付評価の分布状況】

 

では、格付評価10項目の1つである会員予約権利指標はどうでしょうか。

土日祝日の予約に関して、会員重視傾向か、ビジター重視傾向かの指標です。

 

SAランク:土日祝日の予約に関し、メンバー同伴またはメンバー紹介を徹底

B  ランク:    〃     、空いていればメンバー紹介なしでも予約可能

  ランク:    〃     、ネット予約会社1社から予約可能

  ランク:    〃     、ネット予約会社2社から予約可能

  ランク:    〃     、ネット予約会社3社から予約可能

  ランク:    〃     、ネット予約会社4社以上から予約可能

 

残念ながら、メンバーシップを重視して経営されているコースは39と大変低い結果が浮き彫りにされました。


 

【5. 相場価格帯の分布状況】

 

トーナメントコースの平均相場は関東平均の約3倍以上の価格となり、特に上位32%のコースは

平均を大きく上回る相場となっています。しかしながら34%のコースの相場は100万円以下

なり、50万円以下のコースが5コース、10万円以下のコ―スも1コース存在しました。

 

首都圏近隣で100万円以下のコースは、土日祝日でも一般ビジターをネット予約サイトから受け入れている要因が大きく相場低迷の結果を導いていると推察致します。

 

会員権相場の高いゴルフ場は、総合格付B以上経営母体B以上会員予約権利B以上の3つを兼ね備えていたコースでした。

尚、分析3項目全てB以上をクリアした会員権は下記14コースです。

 

・東急セブンハンドレッド  ・名古屋GC   ・よみうりCC  ・三好CC  

・狭山GC           ・大利根CC   ・札幌GC    ・愛知CC

・東京よみうりCC      ・戸塚CC    ・ABCGC    ・田辺CC

・茨城GC           ・袖ヶ浦CC


 

【総論】

 

今夏はどこのゴルフ場も猛暑の影響で芝がやられ茶色く枯れてしまう被害が続出しました。そんな環境下でトーナメント開催されるコースは、最高のコンディションを維持するための気苦労と費用は並々ならぬものであったことでしょう。

 

しかし公共の電波を通して放映されるゴルフ場は、視聴者に誤解を生じさせてはなりません。

注目されるトーナメントコースの使命として、誰が見ても、当然、コース良し・サービス良し・経営良し・会員権相場良し、と名実ともに優れている必要があると考えます。

 

ツアートーナメントコースは、プロゴルファーの熱い戦いのドラマが展開されつつ、コースの素晴らしさと共に知名度が上がります。

但し、会員制コースは、当然、トーナメント開催の土、日曜日を含め4日間以上、メンバーはプレーが出来ません。

会員制ゴルフ場であるからこそ、知名度を上げることの大前提として守って頂きたいことがあります。それは、会員に対する日頃の感謝をカタチにしたサービスを徹底して実施して頂き、

会員権の資産価値を高める過程と結果でも全国の会員制ゴルフ場の模範になって頂くことです。

 

 

以上

AIゴルフ総研事務局:川島利彦、柳肇、品川なつみ)