ゴルフ会員権業界を取り巻く環境

〜 ゴルフ場業界の未来像の予測と考察 〜

201212月期】

 

明けましておめでとうございます。

 

2012年の日本の世相を表す漢字1文字は、「金でした。

山中伸弥さんのノーベル賞受賞、ロンドンオリンピックでの史上最多38個のメダルを獲得した日本選手の活躍、世界一高いタワー「東京スカイツリー」の開業等、数多くの金字塔が打ち立てられた年でありました。

 

では、2012年のゴルフ業界を表す漢字一文字は、何が当てはまるでしょうか。

残念ながら日本の1文字「金」とは、相容れない年でした。

 

AIゴルフ総研が選んだ2012年のゴルフ場業界の漢字1文字は、「脱」です。

 

日本のゴルフ場を代表する太平洋クラブが法的整理ゴルフ場に脱落

アコーディア・ゴルフが太平洋クラブのスポンサー候補から脱落

PGMが公開買い付けによるアコーディアを統合して狙う脱NO2戦略

そして、今、多くのゴルフ場は、現状ポジショニングからの脱却をはかっています。

上記理由と低迷し続けているゴルフ業界からの脱出の願いを込めて、「脱」という一文字を選択しました。

 

201212月のレポートは、人口高齢化という2015年問題を控えている

“ゴルフ場業界を取り巻く未来像の予測と考察”をテーマにお届けさせて頂きます。

 

 

【未来像の予測と考察】

 

@ゴルフ人口からの予測と考察

1992年 日本人口    12,456万人

ゴルフ人口   1,480万人(人口比率11%)

2012年 日本人口    12,691万人

ゴルフ人口    800万人(人口比率6.3%)

2021年 日本人口予測  12,209万人

ゴルフ人口予測  700万人(人口比率5.7%)

 

10年後にはゴルフ人口は、10年前と比較すると▲52%(▲780万人)で、現在から更に100万人減少

すると推測されています。確かに少子高齢化の人口推移だけを観れば、悲観的になるかもしれません。

しかし、今のままのゴルフ場としてはそうかもしれませんが、魅力あるゴルフ場に生まれ変われば、

ゴルフをしない残りの93%を取り込むことは充分可能性があると思われます。


 

下記は、2008年の世界上位のゴルフ人口の表です。

 

日本はゴルフ場を有する世界198か国の中で、世界TOPクラスのゴルフ大国であることは変わりません。

単純にゴルフ人口÷ゴルフ場数の数値を見ると、日本のゴルフ場経営会社は世界的には、まだ恵まれている環境にあります。人口に対するゴルフ人口比率をどう高められるかが今後課せられた問題です。

 

 

A現状のゴルフ場の分布からの予測と考察

 【ゴルフ場預託金問題観点からの分布図】

 

現在営業している2,354コースのうちの37%にあたる889コースが法的整理されたコースです。

全体の70%のゴルフ場は、預託金問題がなく、今後のゴルフ人口対策を一番の大きな課題として立ち向かえる会社です。残り30%の預託金問題を抱えている約650のゴルフ場は、二重苦の問題を抱えています。

法的整理コースを中心としてグループを構成しているPGMやアコーディアゴルフ(AG)の低価格プレーによって、多くの近隣ゴルフ場は苦しめら続けています。

預託金問題を法的整理によって大幅カットしているグループと同じ土俵で戦うのは横綱と新入幕の相撲取りが戦うようなものです。もう2大マーケットリーダー(PGMAG)の戦略とは異なる戦略へ転換しなくては、益々厳しくなる環境に突入することになります。


 

B現状のゴルフ場戦略マトリクスからの予測と考察

 

10年前のゴルフ場の平均客単価は22,000円、現在の平均単価は10,220円、5年後は9,000円台、10年後は8,000円台に突入と推測されています。

 

この環境の変化に伴走可能なのは、やはりPGMAGと言わざるを得ません。

もし2大マーケットリーダーが、平日5,000円、土日祝日10,000円という徹底した低コストプレー戦略に

打ち出たら、他のゴルフ場は太刀打ちできない状況下に晒されます。

またこの価格帯は、若者がゴルフを趣味にできる分水嶺ラインと云われています。


 

Cゴルフ場と他業種のマトリクスからの予測と考察

 

 

AIゴルフ総研では、ゴルフ場業界が同じサービス業の中で一番遅れを取っているのが、ホスピタリティであり、健康増進(ヘルスケア)と判断しています。

 

ゴルフは、1万歩以上歩く健康的スポーツとは云われていますが、現在は乗用カートが主流であり、かつ健康に不安が生じるとそれを機にゴルフをやめられる傾向があります。

残念ながら、健康増進のためにするスポーツというイメージから遠ざかってきています。

 

また、ホスピタリティやおもてなしの心を感じさせるホテルや旅館は、誰でも一つ二つ思い浮びますが、ゴルフ場に関してはホスピタリティが抜群というコースをほとんど耳にしたことがありません。

 

このホスピタリティと健康の二つにヒントが隠れていると推察します。

今一度、ゴルフ場のコンセプトを明確にして、その他大勢のゴルフ場とは違う独自性のあるゴルフ場に生まれ変わる時が訪れているのではないでしょうか。


 

【総論】

 

AIゴルフ総研の考える理想のゴルフ場の未来像は、

心・技・体 が満たされるゴルフ場です。

 

(心)雄大な芝生のフィールドでリフレッシュし、

(技)チャレンジ精神が掻き立てられるコースで腕を磨き、

(体)地場の食材を存分に堪能し、

(体)癒しや療養を兼ねた正真正銘の温泉等で健康増進まで出来るゴルフ場です。

 

ゴルフは、仲間、親子、カップル、3世代でも楽しめ、コミュニケーションの輪を広げられるスポーツです。

 

ちなみに現在、ゴルフ人口で伸びているのは、70歳以上(非課税対象者)です。

当然ではありますが、都心近隣のゴルフ場でのプレーに偏っています。

しかし、もし子供や孫とも楽しめる心技体を実感できる魅力溢れるコースがあれば、きっともう少し足を延ばしてくれると推察します。

 

価格競争から抜け出す最後のチャンスは、2015年までの残り2年です。

この2年間に、メーカーならどこでも苦心を重ねているブランディングに重点をおいて根本から変えられれば、チャンスはまだまだ残されています。

 

需要はあるものでなく、新しく創り出すものです。

 

「この瞬間から別の行動をすれば未来は変わる」BY北野武氏

「自分の道を進むものは誰でも英雄である」  BYヘルマン・ヘッセ

「人の行く裏に道あり 花の山」       BY相場格言

 

 

2013年こそは、脱・価格競争、脱・低迷相場の願いが叶う節目になる新年にしたいものです。

 

 

AIゴルフ総研事務局:川島利彦、柳肇、品川なつみ)